芸大講座「古典組踊」の構造  鈴木耕太(芸大付属研究所講師)

組踊とは
台詞・音楽・所作から成る楽劇、1719年の尚敬王冊封式典に演じられた
玉城朝薫の五番に始まる。忠孝・節義を中心思想とし、勧善懲悪めでたし
で結ぶ。能楽、歌舞伎に続き、国重要無形文化財に指定されている。

朝薫組踊五番
朝薫は尚敬王冊封式典のための躍奉行(おどりぶぎょう)に任ぜられ、五組の
組踊を完成させている。幼少の頃から、芸能が好きで、琉球固有の音楽や踊り
はもとより、大和の能、狂言、歌舞伎、浄瑠璃にも造詣が深く、これらの影響を
受けながら琉球独自の芸能として完成させた。
① 二童敵討(曽我兄弟物)
② 執心鐘入(道成寺物)
③ 銘苅子 (羽衣伝説)
④ 女物狂 (狂女物)
⑤ 孝行の巻(孝女物)

組踊の種類
朝薫以降、平敷屋朝敏、田里朝直、高宮城親雲上など若い作家が出て、次々と
数多くの組踊が創作されている。
 仇討ち物(時代物)32種類
二童敵討、萬歳敵討、義臣物語、大城崩れ、忠臣身替りの巻、大川敵討ち、姉妹敵討ち
久志の若按司、伏山敵討ち、忠臣護佐丸、矢蔵の比屋、二山和睦、東辺名夜討ち、
忠臣反間の巻、本部大主、多田名大主、忠臣仲宗根豊見親、高山敵討ち、忠孝敵討ち、
具志川大軍、忠孝夫婦忠義、探義伝敵討ち、婿入り敵討ち、父子忠臣の巻、西南敵討ち、
大南山、久良葉大主、本部大腹、屋慶名大主敵討ち、糸納の按司、護佐丸、勝連の組

⒉ 世話物(恋愛、孝養、孝女等) 15種類
執心鐘入、銘苅子、孝行の巻、女物狂い、花売りの縁、手水の縁、巡見官、孝行竹寿の巻、
辺戸の大主、雪払い、雪払、賢母三遷の巻、孝女布晒、貞孝夫人、崎原の按司

上記の通り、圧倒的に仇討ち物が多いのは、封建主義社会における支配者側の思想的背景が
儒教思想、忠孝・節義、命令・服従、支配・隷属などの儒教道徳にあったからである。
近年、西欧の童話等から題材を取り入れた組踊「シンデレラ」、「組踊版スイミー」など
新作組踊も上演されており、これまでに約70組ほど創作されている。

古典組踊の構造
⒈ 台詞
① 男吟   強吟、地吟、和吟、底吟等、配役により強弱、抑揚が異なる。
② 女吟   ゆったりした唱え。
③ 若衆吟  女吟と同じ抑揚の唱えだが、早くキビキビしている。

⒉ 音楽
① 手事  大主や按司などの登場、退場の際に奏されるもので前奏(歌持)はない。
② 道行  舞台上での人物の移動の際に奏される。
③ 口説        大和言葉の七五調の音律によるリズミカルな歌曲。

⒊ 所作
舞踊構成は、出端(ディファ)、中踊り(ナカウドゥイ)、入端(イリファ)の
三部構成で、物語は序、破、急と展開していく。

⒋ 「敵討ち」のパターン
① 兄弟、姉妹による、父の仇討ち
② 家臣団による、主君の仇討ち
③ 父、主君の死→残された者たちの苦しみ、悲しみ→仇の殺害→ハッピーエンド

ペーチン